日々のあれこれーのんびりくらし

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終の棲家で花遊び❀

浅田次郎さんの「蒼穹の昴」シリーズが好き

私はトリプルという旅行サイトに登録していて、

色々な人の旅行記を覗いてはワクワクしています。

https://triptriple.com/ja

旅行記を載せると毎月抽選でAmazonギフト券や他の商品があたります。私も過去にいただいたことが。

 

 

その中で私のあこがれの方(私よりずっと若い女性)がいます。

中国に仕事で駐在していたこともあり(おそらく中国語が堪能)、

蒼穹の昴」シリーズとからめて北京・紫禁城の旅のブログを紹介してくれていて、

前に「蒼穹の昴」を読んでいて面白かったなあと思っていた私は、

そのブログ主さんのお勧めの本を読みました。

 

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「マンチュリアン・リポート」

張作霖爆殺事件がテーマです。

事件を日本軍の若手将校が極秘裏に調査し、小説は報告書(手紙)のかたちで進んでいます。

あ、語り手はもう一人(?)張作霖を載せた機関車も語っています。

 

今となっては真相を知っている現代の日本人として、当時の人たちがどう思っていたのかを想像しながら読む作業で面白いです。

  

これを読んでいたら、私はこのシリーズの張作霖がとても好きなので

「中原の虹」を読み返したくなり戻りました。

 

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「中原の虹」シリーズの中ではこれが一番好き

登場人物が何人もいるのですが、それぞれの立場で見る当時の時代が興味深い。

張作霖は、貧しい出自で、貧乏を憎む。貧乏を作り出した世を憎む。

民が飢えないような国を作りたくて、時に冷酷や残虐なこともするけれど、

一貫しているその姿に民衆は「白虎張」「万人喜」とたたえ、

のちに「東北王」と呼んで支持する。

また、その子分たちもみなつらい過去を持っている。

 

袁世凱西太后も歴史的には極悪人のイメージですが、

この小説ではあえてそうしている理由が書かれています。

この視点が新鮮だったーー。

 

張作霖の子分の李春雷が個人的に好きで、最後の再会シーンでは号泣。

家で読んでいて良かった。電車の中だと危ない危ない。

 

二度目でもやっぱり面白い。

  

そして、この小説に出てくる「梁文秀」という状元の役人と「李春雲(春児)」が気になって、シリーズ最初の「蒼穹の昴」に戻ってみたりして。

(図書館に返してしまって写真はないです)

短編の「珍妃の井戸」はそれほど印象に残ってないので再読せず。

 

清を植民地化しようとする欧米と日本にも嫌悪感があるけど、

当時の農民のおかれた現状があまりに悲惨で、本当に悲しくなりました。

主人公の春児は宦官になるのですが、

その選択をしないと生き延びられないくらい一家は悲惨な暮らしをしているのです。

一方で、王族や官僚、地方の有力者たちは贅沢三昧。

 

李鴻章がこの小説ではかっこよすぎです。

 

国史って、たいてい王朝の最後は農民反乱で既存の王朝が崩壊すると、

別の王朝が新しく国を建てるの繰り返し。

 

今の共産党政権も崩壊寸前なんじゃないかな。

香港のデモを武力で鎮圧する様子などを見ると末期症状に思える。

格差社会も昔の比ではないんじゃない?

 

蒼穹の昴」はずいぶん前にドラマにもなったけど、やっぱり原作を読んでほしいです。

 

そして、今シリーズ最新作も旅行記サイトで教えてもらって読みました。

 

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「天子蒙塵」

 

満州国建国の時代です。

またまた色々な人の目線が面白いです。

 

溥儀の皇妃で離婚をした淑妃の言葉を通して語られる溥儀。

 

満州国に派遣される日本の軍人の中にも満州国のあり方に疑問を持つ人がいたり、

張作霖のかつての子分たちもそれぞれの思いからバラバラになっていたり。

 

関東軍の暴走が出てきて、嫌な時代になってきました。

 

蒼穹の昴」「中元の虹」と出てきていた梁文秀が重要な役で出てきて、

思わず実在の人物かと思ってしまう。

2巻の最後はまたまた号泣。

 

自分でもこんなに簡単に小説家の術中にはまるのが情けないけど、

小説家ってすばらしい職業と思う。

書かれた文字のつながりで、読む人の心をゆさぶって

せつないような悲しいような少し救いもあるような気持ちにさせるって。

 

歴史家ではないから、架空の人物を登場させて、その口を通して思いを述べられるのもいいですよね。

 

ただし、4巻で「え?ここで終わり?」という終わり方で不完全燃焼。

続編をぜひとも!期待しています。