やっと図書館から借りられた本。一気読みです。
韓国をはじめ世界中でベストセラーになっているフェミニズム小説です。
タイトルの「キム・ジョン」という名は82年生まれで一番多かった女性の名前、表紙のイラストの顔が無い女性というのも意味深です。
この小説を読んで、今まで当たり前だと思っていたことを疑問に思う人が増え、男女ともに生きやすい社会になればいいという正論のような感想しか出ないです。
母親の世代が男兄弟の学費のために教育の機会を与えられず低賃金で働かざるをえなかったり、
弟は家事をしないのにジョン姉妹は幼い時から家事をするのが当たり前だったり、
就職するときに女子だからということでジヨンがとても苦労し、その後社会人生活や結婚後の選択の数々を見ると、とても深く共感します。
「ママ虫」(夫の稼ぎで暮らす妻を害虫のように侮蔑的に表す言葉だそう)というのを聞いて、ジヨンは心を病んでしまいますが、
今の日本で専業主婦がどれだけ評価感謝されているかと思うと、韓国とそう変わらないような・・・
私は1969年生まれなので、
「女が勉強ができたっていいことない」と大工さんの父に言われ育ち(でも、経済的に余裕ができたので大学に進学できました)、
友人の中には、兄弟は大学まで行ったけど自分は高卒で就職した人も多い。
私が大卒で入社した会社は、某都市銀の子会社で女子が8割、男子が2割。
女子は国立・またはMARCH以上の大学が多かったのに、男子はそれよりは格が下がると言われていた大学が多かったです。
何かの飲み会で行員の課長が言ったのは、女子は銀行の行員のお嫁さん候補だからある程度の学歴の子が望ましい。そして、いずれやめるから多くとっても問題ない。
男子は一生子会社だから学歴が高すぎる子がいても困ると。
今、思うと学歴差別も入ってますね。
これを聞かされた新入社員(男女とも)のモチベーションは上がらないですよね。
話がそれました。
子供のころに「自分がされて嫌なことは相手にもしてはいけない」と教わったのに、相手が女性だから、学歴が低いから、国籍が違うから、若いから、年寄りだから、と条件をつけて、自分の差別行為を正当化するのは、
自分が一番だと思っているから?
それとも誰かに不当に扱われたから、代わりに誰かを傷つけることで救われたいから?
「女のくせに」とか「女だから」とか(同様に「男のくせに」や「男だから」)そういった枠が取り外せればいいなと思います。
子供を産むことは女性しかできないけど、育てることは男性でもできる。
(体質的に母乳で育てることができなかった女性が母親じゃないかというとそうではないと考えるから。)
「男が働いて、妻が家を守る」のが当たり前ではなくて、向いているほうが大黒柱でもいいし、共同扶養で家を支える(その場合は家事も分担で)というのが当たり前になればいいのにと思います。
そのためには女性への賃金格差や出世の機会なども均等にしないと。
学校では男女平等と教わったのに、世の中にはそんなものなかったけど。
あ、今は主婦大家として収入は私のほうが上ですが、時間があるし手際がいいので私が家事全般をやっています。いずれ師匠が退職して時間ができたら家事を教えて分担していこうと思います。
もし、私が先立つことになったときに何もできないでは可哀そうだし(笑)
男性が主夫をしてもいいのに、なかなか世間の目が厳しいというのも改善すべきです。
女性が同棲する男性に扶養されていても「ヒモ」とは思われないですよね?
「家事手伝い」と自称する女性はいても(今はいないかな?私の若いころはいました)、男性は無理そう。
男性でも、家事をこなし家族に頼られていれば、ひきこもりやニートなんて呼ばれないはず。
だんだんと世の中の意識が変わっていけばと思いました。
いつかこの小説を読んで「こんな時代に生まれなくて良かったー」と思える時代がくればいいのに。