日々のあれこれーのんびりくらし

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終の棲家で花遊び❀

2023.5読書記録その1

結構読んだので二回に分けます。

三浦しをん「神去なあなあ夜話」

三浦しをん「神去なあなあ夜話」

先月読んで面白かった本の続編。

神去村で林業に就職した若者と村の人々がすごく良い。おばあちゃんが語る神様の話とか、それまでクリスマスを知らなかった親方の子どもが初クリスマスを祝うところとか。読後感がとても良かったです。

多分実際に住んだら、濃厚すぎる人間関係に参ってしまいそうだけど、桃源郷(ちょっと言い過ぎ)のような雰囲気。

 

三浦しをん「ののはな通信」

そろそろ近所の図書館にある三浦しをんは全部制覇したかも。

三浦しをん「ののはな通信」

ののとはなという二人の女子高生の手紙のやりとりで物語は進行していきます。

多分年齢設定が私よりも少し上。授業中に手紙を回すという懐かしい世界。

ただし、内容はなかなか私にはハードでした。そして長い。

LGBT、優秀な娘に東大に行って成功してほしいと願う両親、外交官の妻になるということ、アフリカ問題(最後は内戦まででてきて、最近のスーダン情勢を連想しました)、東日本大震災まで出てきて、もりだくさん。

初めは紙で回していた手紙も、途中からメールになり、時代の流れを感じます。

最後が、「無事に再会を果たす」ではなく、読者の想像に委ねられたところがリアリティが増します。

同性を好きになるのは仕方ないにしても、告白できないからとりあえず若い子好きの男性教員と寝るっていう女子高生の思考が、いい年して潔癖な私には理解できなかったです。

年代的に私と同じなら高校時代に経験無しの子って相当多いから、そんなの気にすることなかったのにね。

浅田次郎「兵諫」

浅田次郎「兵諫」

蒼穹の昴」シリーズの最新刊。二・二六事件西安事件を扱っています。アメリカ人記者のジムと志津大尉と北村記者の目から西安事件を分析しています。

前作の「天子蒙塵」から間が空いてしまって登場人物の設定を忘れ気味。

陳一豆が張作霖の側近ということをだんだん思い出す。

張学良と蒋介石の間で龍玉をめぐるやりとりがあるけど、張学良は自分を龍玉を持つに相応しい人間ではないと言い、蒋介石にも渡さない。

周恩来毛沢東は出てきているけど、どうなっていくのか気になります。

まさか毛沢東に龍玉が渡るってことはないですよね。

いつかシリーズが完結したら最初から通して読みたい。

私は「中元の虹」が一番好きです。張作霖と李春雷、物語になります。

加藤シゲアキ「オルタネート」

加藤シゲアキ「オルタネート」



アイドルグループNEWSのメンバー加藤シゲアキが作家だということは知っていたけど、読んだのは初めて。アイドル本なんて思っていましたが、すみません。プロの作家さんです。認識誤りでした。

設定がすごかったです。

高校生限定のSNSアプリ「オルタネート」は、マッチングサービス(個人の認証に写真付きの生徒手帳が必要で中退や卒業すると使えない)、ブログを投稿できるSNSなどで、高校生必須のアイテムになっていた。

プロフィールを充実させるほど、AIが選んだ最適の相手を見つけてくれることや、さらには、「Gene Life」という遺伝子分析アプリとも互換性を持たせて、相性のいい相手を見つけてくれるなど、すごいサービス。

 

母親が「なんとなく」で選んだ相手と離婚して苦労した凪津は、「絶対に変わらない最高の相性の相手」に出会うために、「オルタネート」にプロフィールを書きこみ自分の情報を育てていく。

高校生の料理対決番組「ワンポーション」に出場した容は、「オルタネート」に懐疑的。

高校中退した尚志は、「オルタネート」を使えないので、子供の頃の友人を弟に頼んで探してもらい、上京して会いに来る。

凪津と容と尚志の三人が色々体験をしていく話で、考えさせられるところもあり、面白かったです。

遺伝子分析で最高の相手ってどんな感じなんでしょうね。

結局は、AIだけでなく自分の感覚や感性も大事ということでしょう。

ただ、自分の感覚や感性といっても、自分が成長したり環境が変わったりすると変わるだろうし。

今はマッチングアプリで出会って結婚する時代だから、この話はそれほど驚く設定じゃないのかな。私は「すごい話だ」と思ったけど。

 

渡辺房男「円を創った男 小説・大隈重信

「円を創った男 小説・大隈重信

今度、長崎旅行のついでに佐賀にも寄ろうと思い立つ。

今年は佐賀イヤー(有田・伊万里唐津・吉野ケ里遺跡に既に行っている)。

しかし、古代史10としたら幕末・維新は2くらいしか興味がないので、佐賀出身の維新の功労者たちは名前程度にしか知らない。

そこで、明治十四年の政変で下野するまで、新政府内で薩長以外でここまで出世した人っていないんじゃないかなと思う大隈重信の小説を読んでみました。

その後も政党作って首相にもなるし。

幕末から明治初期の財政難を、太政官札の乱発や偽金や悪貨の鋳造で乗り切ろうとして、国民生活を悪化させ、外国行使からも突き上げをくらうという最悪の状態の中、大蔵省のトップになった大隈重信は艱難辛苦の末新しい日本の貨幣「円」を作り出します。

金は小判、銀は重量を計って使う、銅銭は庶民のお金、四進法だったのを十進法に変えて、「円」に統一するというのは、なかなか大変だったと思います。

これを29歳から33歳の時に成し遂げたんだから、相当優秀だと思います。

でも、この小説の描かれた方だと、どうにも好きになれない。

国家財政の正常化のためなら、庶民は切り捨てても仕方ない。(国庫を満たすために凶作でも租税の免除はしないとか)

渋沢栄一のように有能だと思った人はかわいがるけど、無能だと思ったら論破して撃沈させるみたいな、優秀だけど感じ悪い人に描かれています。

そんなふうに思うのは私だけかな?

世の中の優秀な人は「当然でしょ」と思うかな。