副題に「金持ちが普通に納税すれば消費税はいらない!」とあります。
常々疑問に思っていたことに対する答えが明快に書いてありスッキリします。
「日本の金持ちは世界一高い税金を払っている」というのはデマで、
社会保険料も含めて考えると金持ちの税負担率はとても低く抜け穴だらけ。
節税とかでとにかく税金を納めないように工夫を凝らしまくり。
かつ、日本の金持ちには「寄付の文化」がほとんど無い。
そして、バブル崩壊後も、決して日本企業の業績は悪くはなく、
企業が「内部留保金」という名のもとにお金を溜めこんでいることが問題とのこと。
「雇用の流動化」の元に非正規雇用が増え、
また平均賃金が下がり続ける(これがデフレにつながる)。
著者は、金持ちと企業が溜め込んだお金を循環させようと提案する。
金持ち対策としては、「無税国債」を買わせる。
マイナス金利なら売った時点で国の借金にはならずに金持ちからお金を引き出せるということで、
税金の代わりの財源になる。
そして、企業にも人件費削減で利益を確保しようとするような体制にペナルティをかけるべきと。
高所得者を優遇しても、貯蓄に回って循環しないけれど、
低所得者は貯蓄する余裕がなく消費するから循環するので効果が高い。
日本の消費税は高くないというけれど、元々の物価が高いから低所得者ほど生活を直撃する。
「無税国債」に限らず、お金を循環するような仕組みがあれば
消費税増税など要らないというのが著者の主張でした。
本当はもっと色々書いてありましたが、ざっくりまとめるとこんな感じ。
なるほどーと思うこともあり、面白かったです。
お金持ちから見たら「これだけの財産を築くのにどれだけ大変な思いをしたと思う」
反論されるかもしれないけど、相続で得た財産も多いわけで・・・
祖父母から孫への教育や住居への贈与への優遇の制度改悪を見ると
格差が世代を越えて連鎖する社会は嫌だーーーと思う。
その点で「無税国債」のような仕組みは面白いと思うけど、
この本の最後に森永卓郎が解説を載せていてこれがまたウケル。
森永氏は著者と違って、富裕層を日本経済を改善するための良識ある行動のとれる存在と見ていない。
もし事故などで突然亡くなっても死亡前に買ったような偽装は普通にするだろうとか、
それぐらいずるく自己の利益に徹してきたから金持ちになったんだと言っている。
それもあるかもーーー。
金持ちは格差社会が広がっても自分の生活が維持できれば他人が不幸でも気にしない。
世界一の格差社会、そこに向かってまっしぐらに進んでいるのは国民が無知だからと。
森永氏はこの本で読者が無知から解放されるだろうと。
この本を、高校生の現代社会の授業とかで読ませたい。
来年から18歳から選挙権ももらえるし、
「景気を良くしてほしいからあべさんに頑張ってもらわないと」なんて言ってる人、
政府与党の目指す制度は、私たち庶民には配慮無いですよ。
貧乏人から搾り取って、金持ちの溜め込みを許してる。
インフレになればローンが軽くなるように思うかもしれないけど、
賃金が上がらない庶民にとっては生活が苦しくなるだけ。
選挙に行ったって自分の票くらいじゃ世の中変わらないと思うかもしれないけど、
みんなが投票に行って流れを変えないと、この状況を許していることになっちゃうよー。