日々のあれこれーのんびりくらし

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終の棲家で花遊び❀

黒岩重吾 「ワカタケル大王」「北風に起つー継体戦争と蘇我稲目」「古代史への旅」

黒岩重吾歴史小説にハマっていました。

塩野七生ローマ人の物語は今年中に読み切る予定。)

 

「ワカタケル大王」

分厚い単行本「ワカタケル大王」

表紙にある金錯銘鉄剣の写真からすでにワクワク。

ワカタケル大王は雄略天皇と考えられています。アナホ尊(安康天皇)、市辺押磐皇子百済の昆支王、木刕満致、ムサの青などなど知っている名前が出てきて、彼らがどんな人物に描かれるのかを楽しみに読みました。

惜しいのは、タイトルは「ワカタケル大王」なのに即位するまでが長すぎること。途中で飽きました。

当時の大王家は他の豪族と合議で政治を行っているのに、ワカタケル王子は文字(漢字)を学び外国の情勢も知って、大王の力を強めようと考えているとか、進歩的でありながら政敵については遠慮なく倒すとか・・・

まあ私のイメージ通りだったのですが、必ずしも「日本書紀」や「古事記」の記述通りではなくて、日本古代史は謎が多いだけに作者の創造が生きていて面白いです。

 

「北風に起つ 継体戦争と蘇我稲目

「北風に起つ 継体戦争と蘇我稲目

昨年秋、継体天皇の四つの宮をめぐる検証旅行をするくらい継体天皇については関心ありの私。

日本書紀では武烈天皇崩御後、大王位が空位となったため越から迎え入れられたものの大和の豪族たちの反対にあって、20年も大和に入れず樟葉・筒木・乙訓・磐余と宮を移しています。

作者は、即位してから20年も大和に入れなかったというのはおかしいとして、大伴金村に擁立されて越から大和の大王に名乗りでたものの、大和の豪族たちと(平群真鳥ら)闘いながら、最終的には大和に入ることになっています。

男大迹王と蘇我稲目が主人公。どちらもイメージ通り。

最終的にヤマトへ迎え入れる際のキーマンが蘇我氏

蘇我氏百済王族出身ということになっていて、当初はアンチ男大迹王(継体天皇)だった稲目も、大王位にふさわしいのは男大迹王だと認めて迎え入れます。

それも、筑紫の磐井が大和の大王を新羅と組んで狙っているから、そうはさせじということで。

私も蘇我氏百済王族出身だったのではないかなーと思っています。そして、継体天皇の即位に何か関係したのではないかと。

そうでなければ、欽明天皇以後、あんなに大后を出せるはずないと思っていましたが、筑紫の磐井がからむとは。

日本書紀」だと継体の即位後に磐井の乱がおきることになっているのを、この小説では大胆に設定変更。でも、これも大いにありうる。

 

日本古代史はまだまだよく分からない部分が多いので、作者の腕の見せ所といった感じで読むのが楽しいです。

幕末や戦国ものはある程度イメージが出来上がっていて、作品も多いから新鮮味がないですよね。逆にあまりに斬新な人物に描くと違和感があるというか・・・

(2022年の大河の菅田将暉さん演じる義経は空気読まなすぎでちょっと違和感あり)

古代史もある程度は型がありますが(男大迹王を軟弱な男にはしないとか)、そもそも作品自体が少ないから読んでいて楽しいです。もっと探したいなー。

 

残念なのは・・・司馬遼太郎先生もそうですが、一昔前の男性の作家の作品って今読むと女性の描かれ方が酷い。

 

「古代史への旅」

「古代史への旅」

作者が古代史に関して色々な推論を述べていてとても面白かったです。史料を読み込んで、蘇我氏聖徳太子壬申の乱などの作者の仮説を述べて、それを小説ではこのように書いたというようなエピソードあり。

去年の奈良旅行(古代の宮跡めぐりや古墳めぐり)は楽しかったなあ。

早く元気になって夫さんと二人で山の辺の道散策をしたいものです。