韓国ドラマ「二十五、二十一」はとても良かったです。
「スタートアップ夢の扉」に出ていたナム・ジュヒョク君が出てくるので見始めましたがこちらのほうが笑って泣いて、見終わって青春っていいわーとほんわかします。
覚え書きも兼ねているのでネタバレします。
時代背景
この青春ドラマがいつの時代かということがとても重要。
韓国はIMF危機に陥った韓国が舞台で、1998年から始まります。フェンシングを愛する主人公ナ・ヒドはIMF危機のために予算削減で廃部になると聞いてもフェンシングを諦められず、憧れの同い年のコ・ユリムのいる高校へ転校します。(この手段が子どもらしくて笑える)
ペク・イジンは実家が破産して一家離散、大学も中退せざるを得ずバイト生活の中ヒドと出会います。
ヒドとユリムは世界大会や五輪(マドリードと言っていたけど実際はシドニーですよね)で戦ったり、テレビ局に入社したイジンは2001年9月11日の同時多発テロの取材のためNYに滞在しています。
そして、この時代ならではの小道具がおばちゃんとしては懐かしい。
ポケベルだったり、PCのチャットをしたり、離れている間は公衆電話から録音されたメッセージを聞いていたり、貸本屋からマンガを借りていたり、CDプレイヤーをプレゼントされたり。
諦めない心が素晴らしい
主人公のヒドは子供の頃は「神童」と呼ばれたくらいフェンシングが強かったのにスランプ状態。それでも、憧れのユリムの世界に行きたいと親に反対されてもフェンシングを続けています。せっかく転校してもはじめのころはユリムと仲良くなれず落ち込んだりもしますが、一生懸命フェンシングをする姿が青春ドラマという感じで良いです。
「ほめられたいからやりたいのか、好きだからやりたいのか」娘がバレエでスランプに陥ったときにヒドがかける言葉です。
裕福な家に育ったイジンは、父親の事業が失敗して半地下の部屋に下宿しているのにそこにも債権者が来たりする。
「お前の父親のせいで、俺の娘が進学を諦めなくてはならないんだ、どうしてくれる」と怒鳴られ、泣きながら謝るイジン。謝るしかできないと言いながら「僕は幸せにはなりません。おじさんたちのことを忘れないで生きていきます」と言うシーンにもらい泣き。中学生の弟のところにも債権者が来て弟を連れて地方の叔父のところに逃げたりします。こんなに辛いのに、腐ったりしないなんてドラマだから。
地方の漁港で叔父さんの仕事を手伝いながら、ヒドのメッセージを聞いているのがまた泣ける。
大学中退でバイト生活だったものの、テレビ局に就職できて(この時代ならではの配慮枠らしく、「高卒」と上司からからかわれたりしていた)、人生が好転していきます。
そして、二人は再会。テレビ局のスポーツ担当に配属されてイジンはヒドとユリムを取材します。
とにかく青春
憧れのユリムと同じ部になって、色々あって親友でありライバルとなる二人。
ユリムに片思いのジウン(「行動もイケメン」と自称するほど性格が良い男の子)や委員長スンワンなどと友情がとてもさわやかでいいのです。
ユリムとジウンの可愛らしいカップルや、イジンとヒドもお互いが応援しあうような付き合いでおばちゃんもこれなら応援するわ、という感じのお付き合いなのです。
練習ばかりで修学旅行にも行けなかった二人のためにみんなで海に行くとか、ライブに誘うとか。
ユリムとヒドはライバルとして報道され、二人が報道に消耗しながらも最後は約束通り決勝で戦いヒドが勝って試合後に抱き合って泣くシーンも好きです。
ヒドの引退会見で二人が抱きあう所。「フェンシングのおかげでたくさん泣いて笑いました」と。
私の好きな見どころは3つ
奪われた金メダル事件
ユリムとヒドは戦いヒドが優勝するのですが、ユリムは審判に抗議しそれをマスコミが「奪われた金メダル」と報道するところ。
前チャンピオンのユリムは貧しい家庭に育ち可憐なビジュアル、マスコミはヒドを悪役としてインタビューなども悪意を込めたりするので、ヒドは精神的に落ち込んで会見場から逃げてしまうのです。審判のインタビューで世論を落ち着かせ、誠意をもって励ましたイジンのおかげでヒドは立ち直ります。
ヒドが入った食堂で、おじいさんたちが「あんた、あの選手だね」と気づいて、身構えたヒドに対して「よく頑張ったね」「偉かったね」と口々に褒めるシーンがとても好きです。(セリフはちょっとうろ覚えです)
ユリムの帰化事件
貧しい家庭で苦労してフェンシングを続けていたユリムですが、お父さんが交通事故を起こしてしまいます。相手に対する慰謝料とか示談金とか、ただでさえ保証人になって借金もあったのに、もうユリムが実業団に入社したくらいじゃどうにもならなそう。
そのため、金銭的やその他条件のよかったロシアに帰化することになるのです。
そのことを決めたユリムに彼氏のジウンが「辛い決断なのにかっこいいよ」というシーンが好き。「ダメだとも言わず心配もせず『偉いね、かっこいいね』と誰かに言ってほしかった」とユリム。
報道されると「売国奴」呼ばわりされてひどいバッシングをうけるユリム。
ユリムは親を非難されたくないので帰化の理由を「お金のため」としか言わなかったため、「金のために国を売った」と非難されます。
それでも、家族のために堂々とロシアに渡るユリムと見送る友人たちが良かったです。
イジンとヒドの別れ
9.11の取材のため現地に行ったイジン。その前から社会部に移った記者のイジンは仕事が忙しくデートも思うままになりません。
愛しているよりもごめんと言い、それを諦めることが多くなった。それでもお互いの夢を応援し続けるのですが、9.11の取材でNYにいる間にイジンは精神的に、まいっていきます。
もともと、事件や事故の報道の際に被害者に共感してしまうところがあったイジンにとって、911のテロは単なる事件として扱うことのできないものとなり、韓国からメールや電話で励ますヒドの言葉も届かなくなっていきます。
最終話、ケンカ別れした後で、「あんなこと言うつもりはなかった」とお互いを思いやる言葉で別れるシーンと、ヒドの日記のシーンがもう泣けて泣けて。
ドラマっていいわーとこういう時思います。
実際の別れ(私はバツイチ)はこんなにキレイなものではないから。
恋愛もこんなに良いものだったっけ?ドラマで見るに限るかも。
コーチやユリムの両親などの周りの人もいい感じ。
ヒドの日記を娘が見つけて、バレエを続けると宣言するシーンも好きです。
「振り返るとすべてが試行錯誤の日々。永遠だと言い張った瞬間。私はその錯覚が好きだった」
試行錯誤って若者特有。
子どもの頃は20歳を過ぎたら大人で、30.40代なんておばさんで50過ぎたらおばあちゃんだと思っていた。でも、いざ50をすぎたらまだまだ元気なおばちゃんのつもり。
子どもの頃と違って経験と知識が増えたから、試行錯誤をしなくても失敗をしないように備えることもできるし分からないことでの不安も少なくなる。
やり直したいと悔やむことのない暮らしができているのは幸せですよね。