日々のあれこれーのんびりくらし

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終の棲家で花遊び❀

乱読読書ノート 時間旅行にちなんだ話が多かった・・・

 
梅雨で外出できないので本を読んでました。
図書館で予約した本が一気に届いたというのもありますが・・・
 
今回は時間旅行ぽいものばかりが続いています。
 

乾くるみ「リピート」

 
パート仲間さんに薦められた小説。
ある年の10月から1月に記憶を持ったまま戻れるというもの。
その日のある地点のオーロラの中をくぐっていくので、
その場所と時間を知っている人は何度でもリピートできるというもの。
詳しい仕組みはイマイチよくわからないけど、
リピートを繰り返すことができる人が一人じゃつまらないからとパートナーを任意に選んで、
その選ばれた9人が過去に戻ってから一人ずつ消えていって・・・。
 
ツッコミどころ満載でありえない設定なんだけど、続きが気になって一気に読んでしまった。
終わり方があっけないけど、面白かった~。
娯楽ものとしては楽しめそう。感動とかはしないけど。
過去に戻る人たちがみな自分勝手なところが現実っぽい。
 
設定がちょっと前(携帯電話が無い時代で、留守番電話が出てくる時代)で、
主人公が過去に戻って競馬で稼ぐあたりが小市民ぽくて笑える。
競馬なんて全く興味ないからね~。
 
 

ケン・グリムウッド「リプレイ」

 
さっきの「リピート」の中に出てきた『記憶を持ったまま人生を遡ってしまう話』のSF小説
気になってこちらも読んでみた。
昔、堂本剛くんのドラマ「君といた未来のために」の原作らしいですよ。
(このドラマ、好きだったな~。再放送しないかな)
この小説も面白くて夜中一気に読みました。
 
こちらは、43歳の秋に心臓発作で死んだと思ったら18歳の大学時代に、なんと25年間も遡る。
しかも、何度も。(途中で遡る期間にズレが生じるのだけど)
 
1度目にリプレイした時はギャンブルや株で大金持ちになり、妻とはうまくいかないものの可愛い娘が生まれる。
だけど、2度目にリプレイした時に、娘の記憶があるのに18歳に戻ってしまっているので
その喪失感ははかりしれず、2度目のリプレイの時には子供を持たない生活を選ぶ。
等々、
好むと好まざるとリプレイしてしまうので虚しくなるのだけど、
途中で出会うんですよ、同じようにリプレイしている女性に。
ネタバレになるのでここでやめます。ぜひ読んでみてくださいませ
 
こちらのほうが「リピート」に比べて色々考えさせられました。
ケネデイ暗殺を阻止したら、結局オズワルドではない別人に暗殺されたりして、
歴史の必然的な流れは個人の力では換えられないのか、とか。
 
 
結局人間はいつかは死んでしまうものだから、
普通の人はその日がいつか分からないだけで、
得たものを失うという喪失感は同じように思う。
前世の記憶が無いから(ある人も中にはいるのかな?私はあまり信じないけど)
生まれ変わった(これもまた微妙な言い方だけど)時には喪失感は無いのかな。
 
主人公が虚しくなるのって、
やり直した人生がどんなに幸せでも
また決まった日時に強制終了することが分かってるから。
前の世界で得たものを失った記憶のまま次も生きなければいけないのって辛いよね。
ゲーム世代には「リセット」して前回セーブしたところからやり直せると考えれば受け入れられるかも。
 
 
読み終わって師匠と「もし今の記憶があるまま若いころに戻ったらどうする?」と聞いてみたら
「あともう少しで定年なのに、また働くなんて嫌だ」と。わらかすー。
私もうっかり高校時代なんかに戻ったら勉強ばっかりだから嫌だー。
もう一度私の母校を受験しても、多分、いや絶対受からないと思う(涙)
 
というか、今の私は「あのころに戻ってやり直せたら」と思ってないから。
年はとったけど今が一番幸せだなー。
これがもう少し年取って老後の問題とかが起きるとまた違うんだろうけど。
 
 

乾くるみ「スリープ」

 
「リピート」が面白かったので図書館で借りられるものを借りてみた。
(師匠は私の留守中に他にも何冊か借りたらしいけど
「他の本は時間のムダ。乾くるみにももう飽きた」と言っていた)
この「スリープ」はまあまあ面白かったです。
 
TVの科学番組の4人の中学生のリポーター。この中の一人「賢い上に可愛い」くて人気の亜里沙が、
ある収録の時につくば市の研究所で冷凍睡眠装置の中に閉じ込められる。
「病気などで亡くなって、今の技術では助からないけどいつか救う医療技術が生まれたら治療するために」長い間眠るため。(作中の当時は解凍して再生する技術も無い)
そして、30年後に解凍され生き返った亜里沙を巡ってまたゴタゴタ・・・(すみません。語彙が貧困で)
途中でまさかの夢オチかと思ったらそうではなく、どんでん返しがあって、
「リピート」ほど後味は悪くなく、ふーん、と読み終える感じ。
 
「冷凍睡眠」について利己的になって法制度が整わないあたりが面白かったです。
本人としてはまだ死にたくなくていつか生まれ変われるかもと永い眠りについたつもりでも、
残された家族は遺産相続してたり親よりも年取ってたりしたら、「亡くなった親」に生き返ってほしいか?とか、
派閥を引き継いだ政治家が「大物」政治家に戻ってきてほしいか、とか(笑)
病気で死んだのは冷凍睡眠しても、殺してしまってから冷凍睡眠は可?なのか、とか。
そんなことから、再生することは法で禁止されていて、亜里沙の再生はタブーだったっていうのが面白い。
(この小説の言いたいことはここじゃないと思うけど)
 
30年後・・・どうなってるんだろうってことを考えると楽しみよりも不安が多い。
今から30年前もしっかり記憶はあるし、30年後も多分生きてると思うけど、
どう変わってるかな。
多分私はしぶとく元気だろうけど社会がどうなってるかが心配。
環境問題とか国際情勢とか国内の経済とか。
今から30年ローン組もうとする若者に勇気を感じる。
 
時間旅行とは関係ないけど、面白かった本。
 
 

伊坂幸太郎「終末のフール」

 
小惑星が地球に衝突して地球が滅亡すると8年前に発表され、世間が大混乱に陥って
今は小康状態になったという仙台市内のあるマンションの住人たちの話。
 
あと、3年後に地球は滅亡するというのに、
残った人々は諦めつつ淡々と生きている。
略奪や暴行などをしていた人たちに家族を殺されたという設定の人もいて切ない。
そんな中のちょっといい話がまた泣ける。
 
ずっと子供ができなかった夫婦に子供ができて生むかどうしようか悩む「太陽のシール」が良かった。
富士夫と美咲の夫婦もいいのだけど、
障害を持って生まれた子を抱える土屋が「今までは子供より先に死んでしまう不安」があったけど、
小惑星のおかげでみんな一緒に死ぬことで不安が無くなって幸せ」という話に泣きそうになった。
 
「演劇のオール」で、終末騒動の時に
家族を失った人同士が疑似家族を演じているのもほのぼのして切ない。
ただ、最後に出てくるインド人の役者がいいですねー。
 
自分はどうするか。
終末騒動(流言飛語や強盗、暴行が相次ぎ大変な騒ぎとなったという設定)の最中に
私もなんとなく巻き込まれて死んでしまいそう。
そうなると、地球滅亡の前に死んじゃったことになって、単なる殺人事件の被害者?
それとも、なんとしても生き残りたくてじたばたするのか。
 
 

原田マハ「総理の夫」

 
図書館で何か月か待った本だったのに、面白いけどドラマか漫画のノベライズのようでした。
これも娯楽小説ですねー。買わずに借りて済ませて良かった。
こんな信念を持った政治家がいたら理想的、というような政治家がハンサムウーマンで日本初の女性総理。
妻を愛する以外特に何もできない次男坊の夫(なのに、実家が財閥でお母様が政財界に顔が聞く)という設定もマンガみたい。
そうねぇ、ドラマ化するなら相馬凛子は米倉涼子かな(たしか40前後の設定だった)。
夫は可愛くて年下で野鳥の研究所勤務という設定だから、
妻夫木聡か、そうそう小泉孝太郎なんてのもいいかもねー。あのお坊ちゃんぽいところがピッタリ。
 
明日は久しぶりの晴れだから洗濯と掃除を盛大にやるぞー。