日々のあれこれーのんびりくらし

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終の棲家で花遊び❀

お薦めの本に外れ無し 2017年初秋の読書ノート

 
最近、色々な方から薦められた本を読んでいる。
それがどれも好みにあって楽しい時間を過ごせました。
忘れないよう読書メモ。
 

原田マハ「生きるぼくら」

先日コメントされた方から教えていただいた本。
美術系ではない原田マハさんは久しぶり。
引きこもりだった孫が母親の失踪をきっかけに蓼科のおばあちゃんの家を訪れ、もう一人の孫と力を合わせ、おばあちゃんが行っていた自然農法の米作りを行いながら、働くことの意義、おばあちゃんの介護問題、農業の地道さ等々成長する話。
ここまでうまくいくいい話というのも現実にはないかなーと思わなくもないけど、
こつこつと作業をしていく話やいい人たちが出てくる話はホッとする。
本の中では努力は全部報われてほしいから。
(日常から離れて本の世界に入るのに、そこで嫌な人に出会ってしまうのは事故だわ)
壮絶ないじめで引きこもっていた孫が、認知症で自分のことすら忘れてしまったおばあちゃんの為に頑張れるのは子供の頃の楽しかった記憶が相当色鮮やかだったからだろうなあと。
そういう心の奥底の芯がない子はどうしたらいいのか、と思ったりもしましたが。
 
 

宮下奈都「羊と鋼の森

本屋大賞ということで図書館で予約するも半年待ちでやっと借りられた。
調律師をめざす青年の成長。
当然のように挫折したり、周りの人に助けられたり、お客さんの才能ある双子姉妹とかまたまた私の好みのポイントは外さず。こういう風にコツコツ努力して成長していく話というのは好き。
残念ながら音楽にまったく造詣がないので、
ピアノの音に違いがあること自体がよくわからないが「柔らかく」とか「優しく」とか「明るく」とか、
そのピアノの持っている性能以外に音を調整することができることを知らなかったので興味深かったです。
主人公の青年が朴訥とした設定だからか心情表現の文体がブツブツと切れるのがちょっとなじめなかったけど、全体として空気のきれいな森の中のような雰囲気の小説でした。
羊と鋼の森というのはピアノの中のハンマーとフエルトのことのよう。
 
 
 

坂木司「ホテルジューシー」

貧乏性で長女体質、正義感旺盛で曲がったことが嫌い、そんな女子大生ひろちゃんが夏休みのバイトに那覇の雑居ビルの一画にあるホテルでひと夏を過ごす。
昼夜別性格のオーナー代理や双子のお祖母ちゃんスタッフ、そしてお客さんたちと関わってひろちゃんも変わっていきます。
若いころの自分を見ているようで懐かしくも、年をとった今では「正しいことだけが良い事ではない」ということも「相手に良かれと助けてあげるのは実は余計なお世話でしかない」ということも分かってる。
でもなかなかよくできた話で楽しかったわー。
旅に冒険を求める彼や、沖縄に憧れて移住してきた女性とかありそうーー。
旅人体験はけっこうあるけど、リゾートバイト体験はないので若いうちに体験しておけばよかったと後悔。
この小説と対になる話もあるそうなのでそちらも読んでみようかと。
 
 

藤本ひとみ「ハプスブルグの宝剣」

この夏アウシュヴィッツを訪れた友人が「冒険活劇だったー」とお薦めしてくれた本。
宝塚歌劇になっているあたりもさもありなん。
ユダヤ人青年のエリヤーフー(エドゥアルド)が、パドヴァの大学で世界を知るもユダヤ人の因習と衝突しユダヤ人ゲットーを出て、ユダヤ人の自己を捨てオーストリア人として生きて行こうとする冒険活劇。
黒髪、碧眼のイケメンで、頭脳明晰で戦略も冴えわたり、ハプスブルグの守り刀として出世していこうとする話はもりあがる。渋いオイゲン公、お育ちの良さが分かるロートリンゲン公フランツやプロイセン王フリードリヒ、ハンガリーの将軍たちなど好みの人物は多いのに、マリアテレジアが全くハマれない小娘でガッカリでした。
ベルばらの時の賢い国母ではなく、王位を継いだばかりでムキになって他人の意見を聞かず、恋しいエドゥアルドも「ユダヤ人」というだけで憎む対象となって成果も認めない。
ユダヤ人というのは人種とか民族ではなくて、信仰で結ばれている一族(?)だから、外見だけでオーストリア人かどうかというのは分からない(規定の服装や髪形などがあるそうだけど)のに、
あれほど差別や偏見を持つということに理解ができない。けど、こういう感情が一般的だったんだろうねぇ。
と、友人と物語のエンターテインメント性と別のところで話し合う。
 
友人はアウシュビッツを訪れ、唯一の日本人ガイドの中谷剛さんの話を聞いてすごく色々感じたそう。
今ヨーロッパを席巻している難民排斥や自国優先の空気に危機感を覚えると話し、
今はまだ私たちには遠い世界の話でも、
もし、朝鮮有事の際には北朝鮮から難民の人たちが多数来たら果たして、と話し合う。
韓国が好きでしょっちゅう行ったりしてるし、私は特に半島の人たちに思うところもないけれど。
多少話せるハングルでボランティアはできるだろうけど、納めた税金を他国の人に使う覚悟は・・・
ドイツのような寛大さは私にはないかも。
ただ、先日の元首相の「武装難民かもしれないから射殺 云々」の発言には仰天しました。
文明国の日本の政治家が難民保護よりも先にそんなことを言うのかーーー。
難民を保護する国際条約に加盟していなかったかしら、日本も。
選挙戦のドタバタの報道に紛れて埋もれたけど、もっと問題視しようよー。
 
長くなりましたがこれにて。
読書の秋、また読み貯めたらご報告しますねー。
お薦めがありましたらコメント下さいまし。