日々のあれこれーのんびりくらし

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終の棲家で花遊び❀

2023,3月に読んだ本の感想

今月も思いっきり偏っています。

三浦しをん「エレジーは流れない」

三浦しをん「エレジーは流れない」

三浦しをんさんは好きな作家なのですが、この作品はそれほど刺さらないというか・・・

男子高校生ってこんなに物事を考えないで生きているのかな?と不安になるような感じ。

読者のためとはいえ(作中後半で明らかになる構成)、二人の母がいる男子高校生が疑問に思いながらも、出生の秘密や父親のことなどを聞かずに17年も二つの家で生活する設定がちょっと不自然。

どちらが実の親かくらいは聞きたくなるのにそれすら聞いてこなかったって・・・

読者に予想させる余地を残しすぎ(笑)

 

三浦しをん原田マハは最近好きなのですが、図書館でも予約待ちで読みたい時に読めないのが残念です。

 

高田郁「あきない世傳金と銀」

高田郁「あきない世傳金と銀」

完結しました。半年ごとに出版されるも、図書館の予約待ちが長すぎて手にする頃には「この人って誰だっけ?」と首をひねることもしばしば。

絶え間ない困難と苦労をとにかく前向きに清く正しく乗り越えていくヒロイン幸に、ハラハラしつつうまく解決するとホッとするの連続。

浴衣は五十鈴屋が発明したと思っているけどいいのかな?力士の名前入り浴衣も幸の発明なのかな(笑)。

 

ずっと嫌がらせをしてくる悪役の豪商は、なぜ執拗に嫌がらせをするのかというと、多分幸に嫉妬していたのだろうと思われます。

直接何かをしたわけではなくても、人の成功を喜べないという(自分が考えていたことを実践して成功したらなおさら)。知らないところで人の恨みをかうことがあるという不条理に、あるあると思いました。

 

最終巻で悪役は懲罰にあい江戸払いになってほっと一安心。

タイトルにもある「金と銀」は最後に出てきました。

「銭は日々の暮らしを支えるもの。商いで使うのは金と銀。金は重くて柔らかくて光り続ける。銀は曇ってしまうが、それは人の手を渡ったこと、商いに役立ったことの証。金と銀は両方ないと商いはできない」(ざっくり要約)

「五十鈴屋の御寮さんは光り続ける金」であり、「お前は銀となって金の傍を離れず金を活かす努力をしろ」と元大番頭が丁稚奉公に上がる前日に息子に送った言葉です。

丁稚は手代となり、型染の図案を考え、幾度の困難にも負けずにヒロインを支えます。

恋い慕う気持ちもあるようですが、そこは忍んで。

 

こんなに困難なことばかり起きなくてもいいんじゃないかとか、ヒロインがあまりに清く正しすぎてちょっとどうだろうと思ったりもしましたが、無事に終わって良かったです。ちなみに私は菊栄さんのファンです。

 

 

古田武彦「失われた九州王朝」

古田武彦「失われた九州王朝」

今回も粘着質に検証を重ねています。

ヤマト王権」と「倭国」は別と言う考えは私の持論でもあるのですが、それを論証してくれていて、読んでいて安心でした。

倭国(九州王朝)がいつ弱体化して、ヤマトに併合されたかというのも腑に落ちるというか・・・なるほどーと思いましたよ。

 

長浜浩明「邪馬台国はここにある」

長浜浩明「邪馬台国はここにある」

こういう本で苦手なのが、自説を主張するために他者を批判する際の品の無さ。

読んでいて「そうなのかもしれないけど、なんだか嫌」という気分が先行してしまい、納得できなかったです。

正しいと思っても言い方次第で理解してもらえないので、気を付けようと思いました。

石村智「よみがえる古代の港」

石村智「よみがえる古代の港」

古代の地形を復元しながら古代の航路やそれに伴う生活や歴史について書かれていて「へぇー」と思いながら読みました。

資料が増えてくる奈良時代以降はともかく、私の好きな古墳時代ってどんな船に何人くらい乗れてどれくらいの速さで旅ができたのかとか良く分からない。

この本を読んでも疑問が全部解明されたわけではないですが、
当時の地形は今と違い潟やラグーンがあって(大阪も昔は巨大な河内湖があった)、喫水の浅い船が停泊するのに便利だったとか勉強になりました。