日々のあれこれーのんびりくらし

日々のあれこれーのんびりくらし

終の棲家で花遊び❀

思い出の入居者さんー運が良かった話その2 生活保護者

都内でアパート1棟の主婦大家をやっています。

今回はその入居者さんのうち思い出に残っている話を。

これもまた運が良かったとしか言えない話なので参考にできるかどうか・・・

 

生活保護者の入居をどうするか?

 

 

平成27年から都内の住宅扶助の基準額は、単身世帯で53,700円、2人で64,000円となりました。

私の物件の部屋は広さが3パターンあり、一番安い部屋なら基準額より安いため受入可能ですが、広い部屋では一人では基準額を超えるため入居が不可能です。

もともと単身世帯を想定している私の物件では、
超ラブラブな新婚さんか、子供と二人暮らしでないと狭いと思います。

(現在も新婚さんはいますが)

 

生活保護は生きるための権利とは思うものの、どうしてそのような事態になったのかは知りたいところ。

シングルマザーで元夫が養育費を送ってこないとかなら応援したいですが、若い時に年金保険料を支払わず浪費して年取ってから生保を申請されても・・・

 

手広くアパート経営をしている実家の父は、生活保護者は確実に家賃収入が見込めるので歓迎しています。

父の物件には激安物件もあるので、不動産屋を通じて問い合わせもあるようです。

思い出の入居者さん

私が買ったときには、その入居者さんは働いていました。

が、月に2度ほど共用部分を掃除しているときにだんだんとその部屋の前に荷物が出てくるようになり、怪しさが感じられるようになりました。

その方が50代後半のときに更新があり、契約更新の書類を送って数日後
福祉事務所の担当者を名乗る方からお電話がありました。

「更新料は、こちらに書かれている口座に振り込めばいいですか?」

私が買った時は勤め人だった人でしたが、いつのまにか住宅扶助を受けるようになっていました。

今となっては記憶があいまいですが、たしか更新日は月の中途半端な日だったのでその日までに更新料を振り込んでという案内に対し、振込日が役所の手続きの関係で〇日になるがいいですか?という問い合わせでした。

確実に払ってくれるなら多少遅れても全然構いません♪と快諾。

 

知らない間に、生活保護の受給者になっていました。

これって契約を結びなおさないものなんですねぇ。

更新の契約も普通に入居者さんの名前で記名押印してきました。

今となってはそれが正しかったのかもわかりませんが。

 

荒れる部屋

私がどうして生活保護を受給するに至ったかを知りたいのは、やっぱり生活ぶりに現れるから。

更新のときに「いつから受給されているのですか?なぜ?」と聞いたときに、個人情報を理由に担当者はなかなか教えてくれませんでしたが、「病気」とだけ教えてくれました。

精神的なものなのか肉体的なものなのかまでは答えてくれず。

病気で働けないなら仕方ない。

とりあえず1回更新しました。

 

その後、冒頭の家賃の見直しがありました。

15㎡以下だと単身世帯でも減額になったようですが、その部屋はもう少し広いので減額の対象にはならないものの、
53,700円という基準額を超えている部屋に住めるのも不思議です。

 

その部屋は1階だったのですが、あるとき見たら窓ガラスにヒビが入ってゴムテープで補強され、次に行った時には昼間から雨戸がしまりっぱなし。

原状回復する余裕がなかったのでしょうか。

部屋の前に段ボールやカビたゴルフバッグなどが置かれるようになりました。

玄関ポストからDMやチラシがあふれて、共同部に郵便ポストもあるけど、そちらもいっぱい。

本当に住んでるのかな?

毎月家賃は入るものの、自動的に振り込まれるだけで実は中で・・・なんてことになったら怖いので、福祉事務所の担当者の方に電話してみる。

何か月かに一度担当者が見に行って下さるそうです。

 

二度目のラッキー

この入居者さんについて運が良かったと思ったのは、次の契約のときに引っ越しを福祉事務所の担当者から強く提案されて、それに応じてくれたことです。

引越代も出してくれるんですねぇ、福祉事務所って。

 

明け渡しの日に入居者さん(この日初めて会いました)と福祉事務所の担当者さんと3人でその部屋に入ったときに、「どうやってこの部屋に住んでいたんだろう?」と思うほどでした。

荷物は空っぽになっていたのですが、なぜか床に泥が積もっていて土足で上がりました。

泥というか土です。本当に。

スリッパでどうにかなる程度じゃなかったです。

入居者さんと話したのですが、途中から視野が極端に狭くなって失業し、今も目の前の一部分しか見えていないそう。

 

でも、とりあえず無事に退出してくれてありがたく思いました。

 

部屋が荒れさえしなければ、確実に家賃が入ってくるので生活保護受給者はありがたい存在です。

でも、どこか弱いところがあるために受給者になるので、その弱さを受容できない未熟な大家はキツイと思います。

福祉事務所の担当者の方も担当する方がたくさんいて申し訳ないと思いますが、すぐに連絡がつかないし、反応もそれなりに遅いし、本人はもっと反応してくれないし、私は本当に引越ができるのか当日まで心配でした。

 

掃除は壮絶

その入居者さんは、新築のときから住んでいたので20年弱住んでいました。

ものすごいヘビースモーカーだったようで、色々なところがヤニでべっとり。

タバコと病気の因果関係は全く分かりませんが、これほどなら何かの病気になってもおかしくないと思ってしまうほどでした。

これまでで一番壮絶な部屋でした。

窓ガラスが2枚割れていて雨戸がしまっていたのも、中のゴミが窓ガラスを割ってしまったのか?目の不自由な入居者さんがぶつかってしまったのか?

 

ゴミも大量に出されていて、ゴミ収集車が一度に持っていってくれませんでした。

(いつものコースを周る際に多少増えてもいいのですが、突然大量に出されるとすべての収集所を周れなくなるため、置いて行かれるそうです)

 

壁紙、キッチン、照明器具、ボイラー、エアコンは交換しました。

もうヤニがひどくて掃除でどうにかなるものではなかった。

トイレとお風呂は自力で磨き上げてなんとか。

(というかそこまでお金を回せなかった)

浴槽にはほこりと砂がたまっていてここ数年使っていなかったくらいの感じ。

物置になっていたのかも。

床はクッションフロアではなくフローリングなのですが、奇跡的に傷がない。

これも汚部屋効果で、色々なものが保護してくれたのかも?

(壁紙は全張り替えだったけど、巾木は無事だった部分もあり、そこはゴミの地層の下にあったと思われます)

窓ガラスも張り替えて、原状回復にかなりかかりました。

私が買ってからも3回は更新してくれてるので、その更新料を充当しました。

 

幸い、その後すぐに猫を飼っている人が入ってくれたので本当に良かったです。

 

結論

生活保護受給者を差別するつもりはありません。

確実に家賃が入ってくるので、受給者はいいという父のような考えもアリです。

ただし、受給者の弱さをストレスに感じるような私のような未熟な大家には向かないと思います。

新築物件でまだ部屋がきれいなのに、あの状況になったら泣くかも・・・

 

不動産屋からの内覧の照会のときに生活保護受給者と高齢者はお断りしてしまうのは弱者切り捨てと言えるけど、私には受け止める度量の広さがないです。

でも、都内ならいくらでも他の物件があるし、ローンも終わった今は無理に「どんな人でもOKです」にしなくてもいい余裕ができました。

 

今回のようにいつのまにか受給者になっていたということも今後出てくるかもしれません。

基準額より高い部屋が多いので、その部屋の方たちは更新のタイミングで退去するかも。

今は猫可物件で若い方が多いけど、若くてもいつ危機が訪れるか分かりません。

 

サブリースや管理会社に任せたら安心かもしれませんが、

やりとりは管理会社にお任せできても、いざ退去となったときの原状回復費は大家持ちですよね。

 

参考になったかどうかわかりませんが、大家業は人それぞれ物件との向き合い方で正解は無いと思います。

長々と最後までお付き合いいただきありがとうございました。

f:id:Xiaoren:20201125083704j:plain

文章ばかりだったので多肉植物の写真で終えます