今更ですが、年末年始に読んだ本の読書メモ。マンガを読むだけでなく、色々本を読んだり、テレビもダラダラ見ました。
「結婚できない男」再放送を一気に見た
千葉テレビの「結婚できない男」(阿部寛さん主演)の再放送を見ていました。
あのドラマの阿部寛さん演じる桑野信介を偏屈だけど面白いと思っていた若いころの自分が信じられません。シーズン2もかなりダメだと思ったけど、1の方がひどい。
今見るとかなりダメな男でした。人を傷つけることを平気で言うし、謝ることも感謝の言葉も言えず、嫌なことからは逃げる。
若いころはそこまで嫌にならなかったのは、前の夫がダメ人間だったので分からなかったのかも。
師匠(今の夫さん)が尊敬できる人で、それを普通と思ってしまったら、あのドラマの桑野信介は「絶対ない」と思いました。
男の師匠でさえ、「コレって阿部寛だから許されるんだよなあ。これがミキの昴生だったら(兄弟芸人の兄ちゃんの方)だったら、夏川結衣も好きにならないよな」と言うほど。すみません、昴生さん。でも、私もなんで?と思ってしまった。
顔が良くて建築家でいい仕事するなら「ひどいことを言うけど本当は悪い人じゃない」って好意的に考えるのかしら。
こう考えると若いうちに結婚しないと、目が肥えてしまって、なのにまともな独身男は残っていないので一人のまま年を重ねるというのも致し方ないです。
宮口幸治「ケーキの切れない非行少年たち」
電車の広告で見て気になっていました。図書館で借りてさっと読む。
著者は臨床心理士、精神科医で法務技官として少年院で診療も行っています。
認知機能に問題がある少年たちが、勉強についていけない・善悪の判断もできない、計画を立てることもできないまま、犯罪に手を染めてしまうことがあることもあるといいます。
そもそも「知的障害はIQが70未満」というのは1970年代以降の基準で、1950年代は「IQ85未満が知的障害」とされていましたが、それでは16%くらいになり支援現場の実態に合わないと基準が変わったそうです。
そして、IQ70から84は「境界知能」とされていますが、実際には何の支援も受けられず、生きづらい生活を送っていると考えられます。この本によると14%くらい、35人くらいのクラスでいれば下から5人くらいの人数です(そんな単純ではないと思うけど)
病名もつかず、ただ「注意力散漫」「ふざけている」「努力が足りない」などと叱られ続け、フォローされなかったら、非行化することもあると。
最終盤で、認知機能を改善する訓練などが紹介されていて、教科を教えるだけでなく、小学校のうちからこういった訓練をすることで、非行少年、しいては犯罪者になることを減らすという提案がされています。
これだけで変わるとは思えないけれど、何もしないよりはいいはず。
受刑者を刑務所で養うのに施設費や人件費で年間300万くらいかかるそうです。それが勤労をして、納税者になったなら消費税も含めればプラス400万くらいの経済効果になると。
強盗などの財産犯だけでなく、性犯罪や殺人傷害も含めると、犯罪者を減らすということが国力を上げるということの大きな力になるという著者の文章に共感しました。
教育格差を税金を使って是正することは、富裕層の人たちは嫌かもしれない。でも、まわりまわってその方がいいはず。
ただお金を上げるより自活する方法を教えるために使うのが正しい税金の使い方だと思います。
私は東京都足立区出身で、子供の頃は学校は荒れてて夜は高架下とか怖くて行けなかったし、家も裕福ではなく努力と時代の運で今は困らない生活を送れるようになったけど、これからの日本社会を見ると、努力と運で這い上がるのは無理そう。
私は子供がいないけど、私の税金がそういったことに使われるのは全く嫌ではありませんよー。
ハ・ワン「あやうく一生懸命生きるところだった」
ものすごい競争社会を生きている韓国人の著者が会社をやめ、何もせず暮らしている生活の中で書いたエッセイ。
韓国人が書いているから、この文章は実感がこもっていると思います。
まあすべての言葉に共感できるわけではないですが・・・
『』は引用部分です。
「夢みたいなこと言ってないで、勉強しなさい!」と叱られながら、示された勉強という一本道を突き進むしかなく、それは「いい会社に入るため」であったはずなのに、今の韓国社会は努力した人が全て就職できるかどうかも分からないという。
そして、ここ数年になって「夢を見ろ」と若者に言い出したことについても批判しています。
でも、夢を見て何かをしようとしても「正解」の道を進まない限り後ろ指をさされると。
『思いっきり夢見ることが許される世の中になってほしい。心からそう思う。
そして何よりも、特別な夢なんかなくても幸せでいられる世の中であってほしい』
この言葉には共感できます。
「過程を楽しんでこなかった」「成果が出ないものは自分には才能がないと簡単にあきらめてきた」けど、著者はこれからは過程も楽しもうとするようです。
『同じ人生なら「一生懸命」より「楽しく」』
「天才は努力する者に勝てず、努力する者は楽しむ者に勝てない」という言葉に共感しつつも、著者は『必ずしも、人に勝とうとして楽しむものではない』と言います。
『ただ、楽しくやりたいだけ。誰かに勝つことが目的になった瞬間、楽しめなくなると思うから。
これからは一生懸命頑張る人生は終わりだ。耐え忍ぶ人生は十分に生きた。
結果のために耐えるだけの生き方じゃダメだ。過程そのものがたのしみなのだ。
この先、こう考えることに決めた。ワープして飛び越えたくなるような苦しい時間ではなく、楽しい時間を過ごそうと』
時代の運と努力がちょうどよく作用して、貧乏な家の子の私が今ではアパートの大家で老後も安心な生活を送れています。
でも、今の若者がまた就職氷河期のときのように正規雇用につけなかったら・・・
著者はとりあえず本が売れて生活には困っていないけど、なかなかこれを読んで『ふう、あやうく一生懸命生きるところだった』と言える若者はいないんじゃないかしら。
河内春人「倭の五王 王位継承と五世紀の東アジア」
遠山美都男「蘇我氏四代の冤罪を晴らす」
水谷千秋「謎の渡来人秦氏」
この辺は、趣味の日本古代史の勉強と思って読みました。昔の教科書の歴史と違って、今の定説ってこうなっているのねーと思うものや、へぇーと思うものもあり面白かったです。
ただ、「謎の」と題名につけるのって安易すぎる気がしてちょっと。