日々のあれこれーのんびりくらし

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終の棲家で花遊び❀

よしながふみ「大奥」にハマる

またしてもDMMでマンガを借りていました。

その中で一番ハマったのでネタバレも兼ねて思うところを少々。

 

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よしなが ふみ「大奥」

以前菅野美穂さんが主演で映画化もされています。

そして、16年の連載でとうとう2021年2月に完結しかとか。

私は16巻までしか借りられなかったのですが、面白かったです!

続きも借りねば!

 

設定を簡単に説明すると、

三代将軍の家光の頃、謎の伝染病「赤面痘瘡」という病気が日本中に蔓延し、若い男性だけがかかり、しかもかかったら5人のうち4人は死んでしまう。

そのため、死にやすい男性は家で種馬として暮らし、経済活動は女性が担うことに。

将軍家も男性の家光が死んでしまい、身代わりとしてたてられた娘が家光として女将軍となる。

男性が極端に少ないと外国に知られたら攻められるかもということで鎖国したとか、歴史上は男名前で家督を継ぐとか、なかなかよく考えられていました。

 

大奥というと、ドラマやなにかでドロドロのイメージで、まあ多分そうなのでしょうが、女将軍の場合は、自分が子供を産まなければならないからなかなか大変です。

 

マンガなので、キラキラした美形キャラはどこまでもキラキラしていて、(私は伝説の側室といわれているお万の方や、天璋院さまが性格も良い上に美形なので好み)

また武骨系やその辺の普通の男性キャラも画力が高いので楽しめました。

 

私の思う一番の見どころ

キラキラ美男子たちではなく、

「「赤面痘瘡」という病気を治すためにはどうしたらよいか」という発想から、「かからないようにするにはどうしたらよいか」という予防策を考えるようになり、

田沼意次(こちらも当然女性)が蘭学も自由に学んで良いと応援して、

蘭方医や大奥の御中臈(こちらは男性)やそのほか身分色々な者たちが平賀源内(こちらも女性)など色々協力して知恵を絞って、

「過去に「赤面痘瘡」にかかった人が二度とかからない」ことから「かかった人の湿疹から種をもらって植え付けてあらかじめ軽くかかっておけば、感染しない、もしくは重症化しない」ということに気づくのです。

そして、大奥の中でも「赤面痘瘡」で死ぬ者も減り(合せて衛生についても指導して風邪で死ぬものも減る)、大名たちの中でも、こっそりその処置を受けた男児は無事に成人していきます。

 

「人痘」(本当は「ユウトウ」なんだけど、詳しくはマンガ読んでください)の仕組みを考え出し、それを広めようとするところがワクワクしました。

 

今、コロナウィルスと闘うワクチン開発の方々のことなんかも思ったりして。

 

しかし、反田沼の先鋒松平定信(偉大な吉宗公の孫というプライドをもった潔癖で強烈な女性として描かれています)が老中についたことで、江戸城内の蘭方医たちの努力は途切れてしまいます。

 

上手いこと考えたなーと思ったところ

田沼時代に蘭方医が自由に江戸城内にも入ってさかんに活動していた、というのはありそうだなと。

従来の考え方に縛られず商人から税を取ろうとしたり、最近は田沼意次の再評価もありますしね。

そして、子供の頃に「ジントウ」を受けた子供が成人して久しぶりの「男将軍」になったのが、あの子だくさん将軍「家斉」です。

「11代将軍は子供が53人いたはずなのに、女将軍ではどうするんだろう?影武者でもいたのかな?」と読み進めながら思っていたのですが、間に合うように「赤面痘瘡」を克服したのです(笑)

それが、松平定信によって田沼が失脚して「寛政異学の禁」で頓挫。

うーん。すごいですねぇ。なんだか自然なんですよ。

 

しかも、その後、家斉が色々あって途絶えた「ジントウ」を日本中身分の上下を問わず強行したことで、男女比は徐々に元に戻っていきます。

(ただ、11代、12代と男将軍が続いて子供がたくさんできて財政難になったので13代将軍家定は女将軍になります。このあたりも読んでいて自然~)

 

なので、家定は女将軍ですが、井伊直弼は男だったり、幕末になると「男子がいるなら家督は男が継ぐ」に戻され幕閣も男女入り混じります。

水戸の斉昭はバリバリ攘夷派の男性で、気に入らない老中阿部正弘(女性)を「手籠めにするぞ」と怒鳴ったり。(実際の斉昭も異常なほどの女好きだったそうですが)

 

男女の能力って

阿部正弘は有能な女性で家定に忠義の臣として描かれています。

でも、その頃には「家督は男子に」の時代になっていたので、正弘が家督を継ぐのは大変だったことになっています。

 

そのことを大御所家斉と語るシーンが好き。

大御所「そなたのような聡明な女が女と言うだけですぐには家督を継げなくなったというのも時勢と申すか・・・」

正弘「ならば以前は男というだけで政から遠ざけられ種馬にされてきた多くの能ある男がいた事でございましょう」

 

大奥も女将軍時代は、選りすぐりの人物が集められたけど、男が余ってきたらそうでもなくなり、

「女に仕えるなんて」という部下を「清国を破ったイギリスは女王が治めているんだ」と叱るシーンもあったりして。

 

男が極端に少なかった時代は、男は子作り以外に何もすることがなく、

婿をとることのできない家の女性はお金をためて子作りをして、

そうでもして「子供」や「家族」を欲していたことになっていたり、

貧乏な家の男はお金をもらって体を売っていたという設定になっていました。

それが、男が増えて女と同じように死ななくなったので働かせてみたら「力が強い」ので男が力仕事、女が家事労働のように分業に戻ってきて、経済力も男が握る家もでてきた。(「誰の稼ぎで食ってるんだ」が女性のセリフから男性のセリフになった)

 

有能かどうかに性差はないけど、男性のほうが力があるから重機が発達するまでは男性のほうが力仕事は向いてるし、子供を産むということは女性にしかできないしなーと、子供がいない私は複雑な思いで読んでいました。

 

それと、料亭の調理場で黒一点で働いていた男がいじめられて追い出されるところも、現代の逆転と思えばあるかも。

体のことや月のさわりのことなんか女同士なら気軽に話せるのに男がいたら話しづらい、どなる声が大きくておっかない。

これなんて、男ばかりの職場で紅一点の人がこの逆のことで悩んでいそう。

 性差を感じない職場なんて、夢でしかないのかなー。

 

常識と思っていることの設定が変わると色々思って面白い。

マンガってこういう風に自由に発想を飛ばせるから楽しい。

 

読んだところでは、ペリーも来たし、和宮降嫁や一橋慶喜なども出てきて、いよいよ倒幕されてしまいそう。

お気に入りの天璋院さまが「江戸城を守る」という史実はうまく描きそうだけど、どのように完結するのかワクワクが止まりません。