図書館で偶然見つけた本
「書店ガール」シリーズの3巻まで読みました。
面白かったので続きも図書館で予約。
吉祥寺の書店を舞台にしたお仕事小説。
40歳の独身女性店長と27歳の新婚書店員が書店、出版業界の内幕、また恋愛、家庭や仕事のことなど、大変ですが前向きに乗り越えていく元気になる小説でした。
私は本が好きですが、ミニマリストの傾向があるので基本図書館で借りて読みます。
最近買ったのは「三十三か所めぐり」の本くらいです。
図書館も利用しないと存続が危ぶまれると思うし、住民税かなり払っているのでね(笑)
でも、本当に本が好きなら「図書館で予約」はダメでしょうねぇ、買わないと。
3巻は、東北の老舗書店を傘下にいれた新興堂書店(主人公たちの勤務先)。東北エリアマネージャーも兼務する主人公は、そこで震災から二年半たった被災地の現状を知ります。
1.2巻は気楽に興味深く読んでいたのに、3巻はすごく深い内容でした。
先日、東北旅行したときに石巻の門脇小学校という震災遺構を見学したばかりだったので引き寄せられたように感じました。
xiaorentraveldiary.hatenablog.com
なるほどと思ったところを長いですが、引用します。
p251津波が引いた直後の生々しい店舗の様子を撮影した写真冊子を見た吉祥寺在住の主人公と仙台店の副店長との会話です。
「辛いことだから思い出したくない、という気持ちはもちろんあるのだけど、同時に、これほどの大きな体験を忘れちゃいけない、という思いもあるんです。後世にこの悲劇を伝えなきゃとかそんな使命感とは関係なく・・・自分たちの人生を一瞬で変えたものすごく大きな出来事を、なかったことにはできないじゃないですか。それがどんなものだったかをちゃんと覚えておきたい、だからこれを作ったのでしょう」
「なるほどね」
「こうして本という形にしておけば、見たい時にはすぐ取り出せる。だから、安心して忘れることができるんです」
「安心して、忘れる?」
「ええ、辛いことにいつまでも意識を向けるわけにはいきませんからね。そこばかり見ていたら、前に進むことはできないし」
(後略)
震災遺構も残すかどうかについて議論がありましたよね。
震災遺構を見学したからって、よそ者に何がわかると思われたらどうしようとも思いました。
東日本大震災について、私は被害はなかったけど、でも「関係がなかったからって、なかったことにはできない、忘れてはいけない」とこの文章を見て思いました。
多分起きるだろうと言われている首都直下地震も、地震を止めることはできないけど、日ごろの備えなどで被害を抑えることはできると言われていますよね。
うまく書けませんが、本を読んで何かを考えるというのは本の持つ力だと思いました。
シリーズものなので、理子(吉祥寺店の店長)と亜紀(熱血書店員、一児の母。悩んだ末に現場を離れ本社勤務を選択)の今後が気になります。
出版業界、書店業界は本が好きなので興味深いです。
(追記)
7巻完結まで読み終わりました。
4巻からは、それまでサブキャラだった若い世代が就活や店長としての悪戦苦闘ぶりを描いたり、ライトノベルとコミカライズなど出版業界の話なども出てきて、本は好きだけどそういったことは全く外からうかがい知ることができないので読んでいて面白かったです。
登場人物たちが、少しずつリンクしあっているのも面白い。
このシリーズ、読んでいて楽しかったです。
来年の福岡旅行で、ランプライトブックスホテルという本屋さんのあるホテルを予約しました。