先月、映画を見て違和感があったので(このタイトルでなければ普通に面白いジブリ映画だと思う)、図書館で小説とマンガの両方を借りて読み比べました。
前に、マンガは読んだことあったけど、小説のほうは初。
池上彰さんが前書きをしていました。
読み返して、背筋が伸びる感じです。
私には、甥や姪がいるけど、こんな風に教えてあげられることがないなーー。
小説をマンガ化するときに、絵が入る分、ページ数が多くなるから、内容を全て載せることはできず、どのエピソードを活かして、どう脚色するのかというのが見せ所になると思います。
コペル君と叔父さん、お母さん、友達はマンガも小説も同じですが、
小説のほうはやはり情報量が多いので、水谷君のお姉さんのかつこさんが出てきたり、それぞれの家の設定もかなり詳しく書かれています。
マンガ版でも、おじさんのノートは削除されていないので安心ですが、
ちょっと設定が違うところもあって「へぇー」という感じでした。
マンガ版では、叔父さんがコペル君たちのような少年に向かって本を書こうとしますが、原作にはない。
ネタバレになりますが、
コペル君が友人を裏切ってしまったとすごく思い悩む事件が起きるのですが、
その元となる事件が違いました。
マンガでは、いじめっ子グループをやっつけたら、その兄さんたちに仕返しされるという話になってます。
でも、小説では、いじめとは関係がなく、上級生が生意気な下級生をシメル話になっていて、コペル君の友人の北見君は理不尽な上級生の言い分が納得できず、目をつけられたことになってます。
約束を裏切ったことに思い悩んだ末に、コペル君が友人に謝罪の手紙を書くのだけど、仲直りの仕方がマンガと小説では全然違いました。
それと驚いたのが、小説ではこの上級生の鉄拳制裁事件について、
戦前だからか、北見君のお父さんは予備役の陸軍大佐だったり、水谷君のお父さんが経済界のすごい人だったり、豆腐屋の浦川家でさえ親が学校に乗り込んできて、上級生たちの処罰を求めてます。
経済界のすごい人や大佐が乗り込んで来たら、学校も無視できなかったのかな。
マンガと小説で多少演出が違うところはありますが、
どちらも考えさせられるところは同じです。
読書に慣れていない人はマンガで読んで、読書が好きな人は小説で読むのがいいと思います。小説にはあるけど、マンガでは削られている話もあるので。
こういう真面目な名作文学は好きです。
「若草物語」や「ハイジ」もアニメはかわいいけど、原作はすごく宗教色が強くて、説教じみています。(原作にはヨーゼフ出てこないですよ)
が、こういうのを読むと、真面目ないい子どもになれるような気がします。
大人でも「心が洗われる」感じ。